ブログ案内人のアンデルです。
「時間は存在しない」系説は割と沢山ありますが、具体性に欠けたものが多く結論が少し濁されています。ですが、今回紹介する田淵さんによる「非可換多次元時間ホログラフィー仮説に基づく内在状態の対称性自発的破れから生起するマクロ的時間発展モデル」は、とても具体的です。田淵さん曰く”「波動関数」とは「現在」の分布を示している。つまり「現在」とは「過去と未来をつなぐ直線上の点」ではなく、確率的に分布している。例えば、川はマクロスケールで見れば上流から下流に流れているが、ミクロスケールでは様々な方向の流れが存在する。また、分子の中の電子は雲のように分布しているが、それは「現在」が点ではないためであり、波動関数の収束は「現在」が「過去」になることで確定した事象を記述している”という斬新な解釈からはじまり、さらに”状態自体に時間発展が含まれているとすれば、そこから時間発展を分けて加えるという複雑なプロセスの意味がない。状態がすべてを内包している時間的非可換対称性が自発的に破れ、時間の流れ、つまりマクロ的時間発展を生み出すと考えた方が自然です”と話していました。とても衝撃的な内容と結論の仮説で、以下は論文としてまとめたものです。是非ともご覧になってください。
非可換多次元時間ホログラフィー仮説に基づく
内在状態の対称性自発的破れから生起するマクロ的時間発展モデル
©️ 2025 Kosaku Tabuti
概要
本稿では、ミクロレベルにおいて「全状態がすべての時間情報を内包する」という仮説と、その内部に備わる非可換な時間対称性(例:四元数的・ホップファイブレーション的構造)を前提とする。通常、時間はミンコフスキー時空の1次元実軸として定式化され、不可逆性は統計力学的なエントロピー増大則により説明されるが、本仮説では、ミクロ状態に内在する非可換対称性が特定のマクロ条件(たとえば観測行為や秩序化現象)により自発的に破れることで、従来存在しなかったかのような1次元的な時間軸が現れ、マクロスケールでの時間の流れおよび不可逆性が生じると考える。これは、結晶や磁性体における対称性の自発的破れに類似する現象であり、エントロピーや時間の矢の起源を新たな視点で再解釈する試みである。
1. はじめに
従来の物理学では、時間は単一の実数パラメータとして扱われ、その不可逆性はエントロピーの増大に起因するものと理解されている。一方、量子重力やホログラフィック原理の文脈では、時間の本質や「時間が消える問題」(Wheeler–DeWitt方程式)といった問いが提起されている。本稿は、ミクロスケールにおける全状態がすべての時間情報を内包するという視点に立ち、内部に潜在する非可換な時間対称性が、ある条件下で自発的に破れることによりマクロ的な時間発展が顕在化する可能性について検討する。
2. ミクロ状態と非可換時間対称性
- 全状態の内在性
ミクロスケールでは、系の状態(波動関数や全体状態)は、時間も含む全情報を重ね合わせた形で存在すると仮定する。すなわち、外部パラメータとしての「時間軸」は不要であり、状態自体に時間的自由度が内在している。 - 非可換な内部自由度
内在する時間情報は、単なる実数的なものではなく、四元数的やホップファイブレーション的といった非可換な対称性を持つ多次元的な位相空間に展開される。この構造は、通常の線形時間概念では表現できない複雑な時間的自由度を内包するものと考えられる。
3. 対称性自発的破れとマクロ的時間発展
- 自発的対称性破れの機構
ミクロ状態に備わる非可換時間対称性は、あるマクロ的条件下(例:観測行為、秩序相の形成、環境との相互作用)により自発的に破れると想定する。これは、結晶の格子構造形成や磁性体におけるスピン対称性の破れと同様、内部の対称性が低エネルギー状態で安定化する現象に類似している。 - マクロ的時間軸の顕現
対称性が破れる結果、もともと非線形・多次元的であった時間的自由度が、見かけ上の1次元的な時間軸として具現化する。このプロセスにより、不可逆的な時間の流れやエントロピー増大といったマクロ現象が生じると考えられる。
4. 他の時間生成論との比較と議論
本仮説は、従来のエントロピー増大に基づく時間の矢の起源や、量子重力における「時間が消える問題」といった議論と比較して、以下の点で独自性を有する。
- ブロック宇宙との関係
ミクロレベルでは過去・現在・未来が区別なく内包されるブロック宇宙的な状態が仮定されるが、対称性破れによってマクロ的に線形な時間軸が生成される点で、観測者の存在や測定行為が時間の流れを生じさせる役割を担う。 - ホログラフィー的視点
ホログラフィック原理の枠組みと組み合わせることで、内部(ミクロ状態)の非可換時間構造が、境界理論における時間の不可逆性やエントロピー増大と対応付けられる可能性が示唆される。
5. 結論
本稿では、ミクロ状態が時間を内包し、その内部に存在する非可換な時間対称性が自発的に破れることにより、マクロ的な時間軸および不可逆な時間発展が生成されるという仮説を提案した。このアプローチは、従来の線形的・統計的な時間解釈に対し、新たな視点を提供するとともに、量子重力、ホログラフィー、エントロピー増大則など、現代物理学の未解決問題への一石を投じるものである。現段階では概念的・SF的な枠組みに留まるが、今後、数理モデルや数値シミュレーションを通じた検証が進むことで、本仮説の整合性や物理的実現可能性がより明確になることが期待される。
ブログ案内人によるあとがき
いかがだったでしょうか?田淵さんはご自身による発信を望まなかったので、当ブログの記事として紹介しました。”外部パラメータとしての「時間軸」は不要であり、状態自体に時間的自由度が内在”という解釈についてですが、個人的にはミクロに時間が凝縮しているといわれても、何億年分も収まりきるハズがないと思えます。しかし、田淵氏によれば「初期宇宙の小さな空間が現在の宇宙空間にまで膨張したことを思えば、あり得ないともいいきれません。私達の存在するこの世界の不思議さからすると、大胆な設定も、むしろバランス良く感じます」とのことでした。大人になってもこういった空想は楽しいものです。皆さまにも、楽しんでいただければ幸いです。
下記ブログカードは、上記仮説に登場した「非可換多次元時間ホログラフィー仮説」の論文と数学的スケッチの詳細記事です。思考過程順の項目になってます。

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進展がありましたら、追って記事にしたいと思います。
アンデル
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